MPOにより、MGSシリーズ全般に散らばった謎をここに全部解明する。
ライズだ。そう、禮逗御舞蝋摩だ。
聞いてくれ。
今日は俺は頭が酷く冴えてるんだ。
高校受験のときよりも活性化している。
まぁそんな事はどうでもいい。
今回俺はひとつの大きな謎に挑み、その全てをことごとく凌駕し蹴散らせる自信がある。
御託を並べても始まるまい。今回挑むのは、この謎だ。
『MPO(=メタルギアソリッド Portable OPS)発売によって、MGSシリーズ全般に生じたいくつもの謎』
それらを全て、俺一人で解決しようと思ってるわけだ。
この“MGS OPS”では、発売前ではズイブンとネタバレすると言いつつも、結局謎が膨らんでしまったからな。
それらを消化する意味で、俺がここに自分の推理を書こうかと考えたのだ。
さぁ始めようか。
俺の、推理劇を――――――
※以下、ストーリー全般としてのネタバレ注意。
まずMPOを語るには、それより前の時間軸であるMGS3は外せない。
時間軸的に一番最初の出来事であった、MGS3“スネーク・イーター作戦”。
結果的には、これらは全て、CIAの長官と、三重スパイであるアダム(=オセロット)によって操られていた事件と思われていた。
ただし唯一の誤算だったのが、ザ・ボスが死ななければならない状況へ変わったことだった。
つまり、ヴォルギンの凶行(ソコロフ研究所へのデイビー・クロケット発射)による作戦の変更にあった、と。
スネークは一番最後のエヴァの置手紙でそれらを知ったうえで、BIGBOSSとなり、
そして最後は、黒幕2人(=長官&オセロット)による電話の会話で締め括られていた。
だが、時間軸的に2番目であった、MPO“サンヒエロニモ半島蜂起事件”にて、これら全てが覆される事になった。
まず、先のスネーク・イーター作戦によるヴォルギンの凶行は、実は“何者かによって計画に組み込まれていた”というのだ。
ラスボスであったジーン曰く、『国と国を憂う、一人の策略家の手によって―――』
この策略家の正体が本編中で語られる時は無かったが、自分なりの考えの結果、ある該当人物が浮上する事になる。
その人物の特定の鍵とは、MPO内における2つの単語。
①『“ヌル”と同じコード・ネームを持つ男』であり、なおかつ
②『FOXと彼(=ネイキッド・スネーク)を操れる唯一の人物』である事。
①だけでも解いてみれば、それは自ずと分かるだろう。
“ヌル NULL”とはドイツ語であり、英語に訳すと、“ゼロ ZERO”である事。
つまりこの黒幕とは、“スネーク・イーター作戦”の司令官、“ゼロ少佐”である事を示唆していたと言えるのだ。
これならば②も納得が出来る。
スネークを指令できる立場にあり、なおかつFOXを指令できる立場にもあったのだから。
まず考えてみるといい。
『どうしてスネークはこの半島で、パラメディックと通信を取る事が出来たのか?』
彼女は確かにこう答えた。『ゼロ少佐が確保していてくれた』、と。
では、わざわざ確保しておく理由は何か?
それはスネークを、“保険として半島に送り込んでいた”からである。
ジーンを『核を使わざるを得ない』状況に追い込める唯一の兵士であったスネークには、確実に最後まで生きていてもらう必要があったのだ。
この最初の通信時にパラメディックが言った、『ゼロ少佐は、一昨日軍に拘束されたわ』というのについても説明する事が出来る。
というかこれは恐らく、オセロットによって偽装されて匿われた可能性が高い。
まず『軍』とは恐らく、CIAの事なのだろう。FOXという特殊部隊まで持っていたのだから。
そのCIAと関わりがあり、尚且つ黒幕にも干渉が出来るのはオセロットだけだ。
ゼロ少佐は、スネークが半島を過ごしている間、オセロットによって別の場所に移動させられていた可能性があるという事だ。
だが、そこでひとつ問題となる事がある。
『起動計算データを見て、連中も本気だと信じたようだ。だがあの計算データ、一人で手に入れたものではあるまい?
貴様の背後にいる人物―――何者か―――?』
と言っているのだが、一方オセロットは最後のゼロ少佐との電話で『まさかジーンが本気で核を撃とうと考えたのは“誤算”だった』と言っている。
もしも起動計算データを“背後にいる人物(=ゼロ少佐)”が用意したとなれば、彼らにもこうなる事も予測できていたはずだ。
…………だが、ここで思い返して欲しい。
それは、6年前の“スネーク・イーター作戦”での、最後のオセロットの言葉だ。
『それと、グラーニンから“面白いもの”を手に入れました。“全く新しい核攻撃システム”です。
――――いずれ役に立つ日が来るかと。』
つまり、あの軌道データを用意したのはゼロ少佐ではなく、オセロットがグラーニンからガメていた代物そのものであったという事だ。
要するにオセロットにとって、『ジーンが本気で核を撃とうとした事』さえも、“誤算”では無かったという事になる。
ではオセロットは、ゼロ少佐に嘘をついたのか?
――――恐らく、その通りだろう。
『あなたに利用されるだけの私ではない。』
この時には既に、ゼロ少佐を裏切る予定を組み始めていた事になるからだ。
…………ここまでの推理には、自分的には穴が無いと思っていたのだが、ここにきて俺の脳にある一つの疑問が浮かんだ。
『スネークが任務を完遂できるという根拠はあったのか?』
ここまで周到な用意を重ねているにもかかわらず、当のスネークはMPO開始当初の時点で“まったく何も知らされて無かった”事が、ふと気に掛かったのだ。
何か引っかかる。
俺はきっと、まだ何かを見落としている―――――
―――――そうか。
逆に、スネークが“状況を把握できた”事が、そもそもおかしいんじゃないのか?
つまり、だ。
完全な敵の監視下の中、
拷問されるのを待つだけの牢屋に入れられて、
任務を完遂できるわけが無かったのだ――――。
…………では、その窮地は誰が――――あぁ、そうか。
この疑問に答えるには、もうひとつの“謎”を提示しなくてはならない。
さて、スネークは、序盤の牢屋の脱出にて“スニーキングスーツ”を発見した時、こんな一言を洩らしている。
『FOXの新型か。………なぜこんなところに?』
その謎を、考えてみようじゃないか。
“なぜスネークの牢屋の隣に、最新式のFOXのスーツが、これみよがしに置いてあったのか?”
“そのスーツを置いて、スネークに着させて得をするのは誰か?”
“そして、あの半島で、それを用意できたのは――――誰か――――?”
そんなの一人しか、居ないじゃないか――――。
『 カニンガム 』
…………正直に言えば、俺も一旦はこの考えを振り払おうとは試みた。あらゆる可能性を考えてはみたのだ。
『もしかしたら、キャンベルのスーツがそこに取り上げられて放置されてたのかもしれない』等とね。
――――だが、そんな事はあり得ない。
ロイ・キャンベルは、“グリーンベレー”として派遣されていたハズだ。
もはや途中から“敵”とさえなった、FOXのスーツを着れる訳が無い。
『では、“敵”が置いていったのかも――――?』
それもあり得ないだろう。
何故かって?
あの“留置場”のMAPを見てみればいい。
『ソ連兵しか、居ない。』
そんな中、FOXの新型スーツを、どの“敵”が置いていくって言うんだ?
だが、あの牢屋には、それが用意してあった。
それが出来るのは、スネークを拷問する為に“留置場”を訪れた人物であり、尚且つ、スネークの“任務”を期待した人間だった。
国防省側の人間で、実はジーン一味の裏切り者だったカニンガムとみて、間違いないだろう。彼自身もFOXスーツを着てるわけだから、手に入れることも難しくは無かったと思われるしな。
――――だが、恐らくは、彼だけではない。
“わざわざカニンガムが、スネークの手の届かない隣の部屋に、見通したかのようにスニーキング・スーツを置けたか?”という部分だ。
それもまた、ちょっと考えれば分かるだろう。
カニンガムは、まだ“ジーンの味方を装う必要があった”為、スネークに事の顛末を話すわけにはいかなかった。
つまり、スニーキング・スーツは用意できたとしても、それを着させるタイミングや、状況説明をスネークには与えられなかったのだ。
そこで、だ。
カニンガムは、それらを自分の代わりにさせる為のサポートが必要だった。
もうお分かりだろう。
“隣の留置場へ行くように仕向けたのは誰か。”
“ゼロ少佐が確保しておいた『通信』を、使わせるように仕込んだのは誰か。”
“スネークが任務達成できるよう、サポートできたのは誰か。”
“全員殺されたグリーンベレー隊の中で、ただひとり『留置場』に送られたのは、一体誰か………?”
『だが、奴らは同胞だった俺たちグリーンベレーを、容赦も何の呵責もなく殲滅した。
目的のためには手段を選ばんような連中なんだよ』――――ロイ・キャンベル
全滅させたという事は、グリーンベレーの人間には、捕虜としての価値が無かった証拠とも言えるだろう。
それなのに、見つけた兵士を殺すことなく、わざわざ手間のかかる留置場へ入れ込んだのは、何故か?
…………簡単だ。
そうさせる為に仕組んだ人物が居る。
『ロイ・キャンベル』
彼は、最初からカニンガムと協力していた人物であり、尚且つ任務成功を扇動していた“黒幕の一人”とも言えるだろう。
――――だが、ここまで考えてもまだ分からない点がある。
ここまでの話を整理すると、
CIA側の黒幕=オセロット、ゼロ少佐。
という事になる。
だが、本編中でも語られる通り、
全体的構図としては『CIAvs国防省』となっている為、両者が手を結ぶとは考えにくいのだ。
だが、その謎も何となく分かる気がする。
つまり、だ。
後にロイ・キャンベルが『FOX HOUND次期司令官』となる事を考慮して、
キャンベルが、表向きには“国防省の人間”としてカニンガムと手を組んでいたが、裏ではCIAと繋がっていた―――なんて展開ではないかと推測しているのだが、どうだろうか?
…………ここまで考えて、改めてMGSの世界が深いという事を知った。
誰が敵で、誰が味方か分からない。
そして、それらに全く気づく事が無く、ただ任務をこなすスネーク―――――
おっと、感傷に浸ってる場合でもなかった。
キャンベルについての立場の推測は以上の通りで、俺が推理していく今後の話は、実際にそうであるとの仮定の下に進められる事を明記しておこう。
さぁ、残りのMPOの謎を消していこうか。
おおかたストーリー上の疑問は潰れてきたのだが、まだ大きな謎が3つほど残っている。
1つめは、『“賢者の遺産”の在り処。』
6年前の”スネーク・イーター作戦”の際にオセロット(=CIA)は、スネークに(結果的にはエヴァに)“偽のフィルム”を掴ませる事で、CIAが賢者の遺産を“全額そのまま”手に入れていたはずだった。
だが、カニンガムが執拗に質問していたように、“遺産の半分は消失している”事が分かる。
彼が言う“残りの半分”とは、何を指しているのだろうか?そして“元の半分”とはどれの事か?
まず、“元の半分”について推理しよう。
それは恐らく、ジーンが持っていた、“アーミーズ・ヘヴン建国の為の資金”の事なのではないかと思う。
まさかジーンがひとりで、“国を建てるだけの資金”を手に入れることが出来るとは考えにくいし、カニンガムが“元”を知っている事も頷ける。
それがどうしてCIAからジーンの手に渡るような事になったのか?
それにもきっと、オセロットが絡んでいる。
オセロットはジーンに対して『わが親友』と言わしめるだけの人物である事など、今更明記するまでも無い事だが、
彼に“アーミーズ・ヘヴン”を作らせることで、
オセロットは
“賢者達を潰すための戦力を作りたかった”か、
“賢者達をおびき出したかった”のではないかと思う。
彼が“賢者達”を潰したがってたのは、終盤を見れば分かる事なのだから。
で、実際に計画はうまくいった。
“アーミーズ・ヘヴン建国”は一歩前でスネークによって邪魔されてしまったが、結果的に『賢者達を“終わらせる”事に成功した』からだ。
………少し余談になるが。
MGS3で判明するとおり、ザ・ボスがザ・ソローの間に出来た実の子供(=帝王切開して戦場で生んだ子供)が、オセロット自身であったのに対し、
“相続者計画”によって、ザ・ボスの“遺伝子(=英語でGENE ジーン)”を受け継いだのが、ジーンである。
ていうかあくまで個人的な感想だが、顔も似てる気がする。
オセロットがCIA長官を殺す際の言葉、
『全ては、彼女(=恐らくザ・ボス)の望んだ世界を実現する為――――』
というのも、少し泣かせる台詞な気がした。
“真の愛国者”として散った母親の為に、自分も“真の愛国者”となろうとしたって所か。実に親孝行なヤツである。
まぁいいか。本当にどうでもいい話になってしまった。本題へと戻ろうか。
遺産の残り半分は、誰が持っているのか、だったな。
これは言うまでも無いだろう。オセロットである。
彼自身が最後の電話でゼロ少佐に対して、『私が遺産の半分を手に入れたことも、計画通りですか?』
と聞いていることが分かる。
カニンガムがそれを知らなかったのは――――そうか、ジーンもオセロットから知らされてなかったからか。
オセロットがそう易々と手の内を明かす真似はしないだろうしな。
このオセロットの資金は恐らく、“愛国者達”の創設に使われたのではないかと考えている。
さっき書いたとおり、『我々が、“真の愛国者達”となる為に』という発言に繋がるからだ。
MGS2のラストでオタコンが話す、『全員100年前に死んでるんだ』発言についての俺の考えも、ここでついでに考えておこう。
あの事件の100年前。
つまりそれはまだ、“賢者達”さえ創設されて無かった時期だ。
MGS2“ビッグ・シェル事件”の舞台が2009年であるのは、確か公式発表されていたハズなので、大体1900年ぐらいに“愛国者”の12人のモデルが死んだ事になる。
だが、それではオセロットの台詞とは明らかに食い違ってしまう。
そこで俺は、あるひとつの推理をしたい。
『愛国者の原型であった“12人の老人”はその全員が、ただ死後に適当に選ばれて既成事実にされただけの形骸の集まりだった。』という物だ。
つまり、“本物の愛国者達”の実態を誤魔化すために“誰か”が仕組んだ隠ぺい工作と取るべきだろう。
その誰か、というのさえ愚問だろうな。“オセロット”だ。
これなら彼の発言も良く分かる。
“真の愛国者達”。
それは自分たちが、形骸なただのカバーではなく、本物の“愛国者達”である事を指したかったのではないだろうか?
結果的にこの組織は、“デジタル”という媒体を手に入れた結果、本当に暴走してしまうわけなのだが…………。
まぁ遺産の流れに関しての1つめの疑問はこれで終わりだ。
2つ目の疑問に移ろうか。
『絶対兵士の戦闘データ』について、だ。
オセロットがMPO最後の電話の際に、電話の相手(=ゼロ少佐)から聞かされていた単語だ。
その後の会話には『………遺伝子………ゲノム………なるほど面白い。』と続くのだが、
あの事件の時に半島に訪れた事さえない(と思われる)ゼロ少佐が、戦闘データを手に入れられると思えるか――――?
恐らく、これについてはさっきの“CIAと国防省の人間リスト”が関わってくるだろう。
実際に現地に居て、絶対兵士である“ヌル”の戦闘データを手に入れられる立場に居て、尚且つCIAとの繋がりを持つ人物。
――――ロイ・キャンベルをおいて他に居ようか?
現地での絶対兵士の戦闘状況を良く知っていた人間だったし、
そして、スネークが半島から帰ってきた後も、“ヌル”の容態を把握できた人間でもある。
※『あぁ、生きてるよ。肉体的にも精神的にもボロボロだがな。普通の生活には、戻れんかも知れん。』
つまりこの時点でゼロ少佐とキャンベルは密接な繋がりを持っていた可能性がある。
なるほど、司令官という立場、か。よく覚えておこう。後の推理に役立つかもしれない。
とにかく、その戦闘データをキャンベルが持ち帰り、ゼロ少佐に渡したと。
で、ここからは俺の推測に過ぎないのだが、恐らく“ヌル(=フランク・イエーガー)”の中にも、“ソルジャー遺伝子”が刻まれていたのではないだろうか?
ジーンが死に際に残した言葉。
『ソルジャー遺伝子………あの噂は本当かも知れんな………。』と言っている。
この時の発言は、もちろんスネークに向けられたものだったが、“噂”と言ったという事は、ジーンもその存在自体は耳にしていたのかもしれない。
もし、それらの“噂”が、絶対兵士に関する物だったとしたらどうだろうか?
フランクは、わずか少年兵の時から、1本のナイフで何十人もの兵士を殺したと言う。
ならば、“ソルジャー遺伝子”を積んでる可能性は否定しきれないのではないだろうか。
まぁここより先は完全にソース無しの世界になってしまうので一旦ブレーキをかけようか。
とにかく、ヌルの戦闘データから、“ソルジャー遺伝子”の可能性が持ち上がった、といった発言をすれば、その後のオセロットの『遺伝子………ゲノム………』の会話に繋がっていくのではないだろうかと俺は考えている。
そしてそれに対して、オセロットは『その計画に手を貸すには、BIGBOSSの協力が欲しい』、と。
この計画とは当然『恐るべき子供達計画』の事を指す。
これがソリッドやリキッドを生み出していく事になるのだ――――
まぁそんなこんなで第2の謎はこの辺にしとくか。最後の謎に迫ろうか。
『BIGBOSSによる、OUTER HEAVEN建国について』
これに関しては俺としても非常に難しかった。
もうはっきり言って、ここまでのような“自分で確証が持てる推理”が出来るかさえ怪しいが、まずは分かっている事だけ整理して行こうじゃないか。
まずOUTER HEAVENについてだが、ジーンの死に際に渡された資金(=恐らく賢者の遺産の半分)によって作られ、
その方向や思想は、結果的には“アーミーズ・ヘヴン”に影響された形となっている。
傭兵国家である事はもちろんの事、MGS4のトレーラーを見てもらえば分かるとおり、“アウター・ヘブンによって、戦場が制御され、歴史のコントロールをも可能にした”状況は、
ジーンの語る『地下深くに潜伏し、世界中のあらゆる紛争に関わる。そして、歴史の流れを、操る。』状況と酷似している。
だが、そこまではいいとして、どうして世界を恐怖のどん底に貶めようと、自分からメタルギアまで作らなければならなかったのか?
―――――それには、やはり“彼ら”が絡んでいたのではないだろうか。
“愛国者達”が。
恐らくBIGBOSSは、『恐るべき子供達計画』に協力した時点で、“愛国者達”の存在を知ってしまっていたのだろう。
そして、この頃には既にデジタルの基礎的部分が出来上がっており、ミスター・シギントが管理者である“ARPAネット”を介して既に“愛国者達”の暴走が始まりつつあったのではないかと推測する。
なるほど、確かにいつ自分が利用されるか、破滅させられるかも判らない状況にはなりつつあったのかも知れないし、それに対抗するために強力な武力を統率すべきだと言う考えも正しい。
が、まだこの時代に、デジタルがそれほど脅威だったかは信憑性に欠ける。
実はもっと、BIGBOSS自身の心境の変化みたいなのが鍵だったのかもしれないな。
表向きはFOXHOUNDの総司令官として、かつて闘ったフランクやキャンベル、“愛国者達の思惑通り”に生み出された自分の模倣品を管理していく立場だったが、裏でそんな暴挙に出るほどの、何かがあったのかもしれない。
だが、その辺はやはり、“生の充足”を得るためだけだったのだろうか………?
それとも、何か別の………?
…………ダメだ。この辺を深く掘り下げる事は出来そうにないな。
だが、これについてをさらに語ろうとするには、そろそろ次の時間軸に進まなければならないだろう。
全ての始まりの元凶である、MSX版“メタルギア”へと。
この話でOUTER HEAVEN に関する話題と言えば限られてくる。
まず、フランク。彼はFOX HOUND内では“グレイ・フォックス”のコード・ネームを得ていて、一番最初にOUTER HEAVENに潜入した張本人だった。
だが彼は、『メタルギア………』の単語を残して消え去ってしまう。
ここで疑問だ。
『グレイ・フォックスは、本当にここで初めて“メタルギア”という単語を聞いたのだろうか?』
これについてはどうなんだろう。
彼はあの“死者の半島”で、“メタルギア”の単語を一度も耳には――――するわけないか。よく考えたら浴槽付けで記憶抹消だもんな。
だが、逆にこれが手がかりかもしれない。その言葉を前に倒れたという事は、メタルギアを実際にその場で見ていた可能性が出てきたからだ。
そしてその名称を知ったという事は、何らかの資料を見つけたか、それとも。
BIGBOSSから直接聞かされた可能性さえ考えられるのではないだろうか。
フランクはどう思っただろう。
自分を2度も救ってくれた人間が、世界を破滅させる武器で自分に襲い掛かってくる状況を。
まぁ、結果的には死んでないし、“メタルギア2ソリッド・スネーク”じゃあ敵になってるしメタルギア乗っちゃってるしどうでもいいけどさ。
おっと、話が逸れちまったな。
とにかくそこで、ソリッド・スネークが投入され、あれよあれよとBIGBOSSを倒して、初代メタルギアは幕を閉じる。
だが俺は、第1次OUTER HEAVEN崩壊の時のBIGBOSSの台詞が、妙に頭にチラついてはなれない。
『お前はやりすぎた。やりすぎたのだ!』
これは、ただ単に組織の崩壊を嘆いただけの台詞だったのか? 本当に?
これはもしかして、“愛国者達”への唯一の対抗武器を壊された、という意味なんじゃ?
そして結果的にMGS4では、スネークたちだけで“愛国者達”と対峙する羽目になるらしい。
『適当な所で切り上げて、大人しく俺の元についたままだったら、共に愛国者達を倒せたのに。お前がやっちゃったせいで、もう自分の首絞めちゃってるんだぞー。』
みたいな意味合いもあったのではないか、なんて、こんな推理こそ信憑性無いかもな。
さて、次だ。
メタルギア2ソリッドスネーク“ザンジバーランド騒乱”、か。
フランクがアウターヘヴンに入っていた事には別段違和感は無いっていうか、当然の流れだわな。
問題は、BIGBOSSだろう。
彼がOUTER HEAVENでソリッドに敗れたにもかかわらず、再び立ち上がってキオ・マルフ氏を誘拐し『OILIX』の加護の元、新型メタルギアで軍事的優位を手に入れようとした点が、個人的に気になる。
いくら彼がMPOの最後に『俺は闘いの中でしか生きられない』と発言していたからといって、再び“生の充足”の為だけにここまでやるのだろうか?
…………まぁ、俺が何を言いたいのかというと、実はもうこの時点では、“愛国者達”は完全なる暴走体に発展していたのではないか、という事だ。
この事件の6年後には“シャドーモセス事件”が控えている事だし、そろそろ“愛国者達”が世界の事象に徐々に干渉していってたのかもしれない。
で、BIGBOSSはそれが許せなかった。
今までずっと誰かに利用されてきた自分が、これからも“愛国者達”に利用されていく事が。
『俺は、俺自身に忠を尽くす。俺はボスとは違う生き方をする。』
『闘う理由だけは、俺が決める。』
そう言っていた矢先に、何度も“愛国者達”に利用されそうになっていたBIGBOSSは、
“愛国者達”を倒す為か、
それとも“愛国者達”に圧力を加えるためか、
または、“愛国者達”の正体を確かめるために、再び事件を起こしたのではないだろうか?
…………そう。
MPOでオセロットが、そうやって“賢者達”を倒したように。
だが、最終的にはソリッドに再び敗れ、今度こそ殺されてしまう。
彼は、『闘う理由は自分で決める』と言いながら、最後まで“愛国者達”の手の平だったのかも、知れない。
“メタルギア2ソリッドスネーク”についての推測はここまでにしようか。
ここからはいよいよ、“メタルギアソリッド”に入っていくわけだが…………。
MGS1(&MGSTTS)“シャドーモセス事件”
この事件では既にBIGBOSSは遺体と化しているので、彼については何の推理も出来ない。
問題は、生き残っている彼らだ。
リボルバー・オセロットと、ロイ・キャンベル。
リボルバーオセロットに関しては、初登場の時から意味深な台詞を寄越してくれた。
『お前が、“ボス”のお気に入りか。』
このボスとは、今現在のリーダーである“リキッド・スネーク”の事なのだろうか?
それとも……………?
もし『“ボス(=BIGBOSS)”のお気に入り』という意味での発言だったとしたら…………?
確かに、生み出された8人のクローンの中で、ソリッド・スネークだけがBIGBOSSの側にいつも置かれていて、FOUHOUNDにも入隊していた“お気に入り”であるとの解釈も持てない事は無い。
まぁこれについてはソース無しの無謀なやり取りに発展しそうなのでこの辺に留めておくが…………。
次にロイ・キャンベル。
彼はこのシナリオを通して、うん。完全に嘘つきだったよな。
だが、思い出して欲しい。
この全編にわたる大佐の嘘が、“国防省ジム・ハウスマン”の手によるものだったというのだから、奥が深いじゃないか。
MPOにおいて、表向きには“国防省”に、裏では“CIA”と繋がり、カニンガムのサポートの傍らゼロ少佐についていたロイ・キャンベルだ。
彼が“国防省”からの圧力を受けるというのは、何か一種の報復のようなものに見えなくも無い。
しかもこのジム・ハウスマン、この事件の直後に自殺だったか変死だったかで死んでいたハズだ。
この辺で“愛国者達”の匂いがプンプンしてくるわけだが、ロイ・キャンベル自身は“愛国者達”では無かったのだろうか?
思い返してみよう。
MGS4のトレーラーにて、『“愛国者達”が関与している。もう、誰にも止める事は出来ない。』との発言をしているのだが、
キャンベルは“愛国者達”の存在を、何処で知ったのだろうか?
シリーズで初めて“愛国者達”の話題が明るみになるのはMGS2“ビッグ・シェル事件”だ。
だが、この時スネークは“フィランソロピー”としてオタコンや、影ではメイリンと活動をしていたのでキャンベルの耳に入る事は無く、
雷電に到っては、“キャンベルを模倣したプログラム”が指揮していたのだから、無関係にも程がある。
では彼はどこで、“愛国者達”の単語を耳にしたのだろうか?
ここで、思い出して欲しい。
MGS3での、ゼロ少佐の台詞を。
『いいか。合言葉は、“愛国者は、らりるれろ”』
不自然だよなぁ。どう考えても不自然だよなぁ。
MPOの黒幕であり、賢者の遺産の残りの半分でオセロットと共に“真の愛国者”を設立したゼロ少佐だ。
この“らりるれろ(=愛国者達の隠語)”の単語を開発したのは彼である可能性は高く、
MPOにて彼と深い関わりを持っていたとされるロイ・キャンベルなら、MGS1より以前から、もしかしたら、“初代メタルギア”の時点で“愛国者達”の存在を知っていた可能性があり、もしかしたら彼自身も、『デジタル化して暴走する前の“愛国者達”』の一員となっていたのかも知れない、という事だ。
MGS1で国防省からの圧力を受けたキャンベルは、何らかの形で愛国者達とコンタクトを取り、ジムの暗殺を――――うーん?
ロイ・キャンベルは本当に、『デジタル化した“愛国者達”』とコネクションを持っていたのか?
だとしたら、MGS4においても、“愛国者達”と連絡が出来そうなもので、『“愛国者達”が関与している。もう、誰にも止める事は出来ない。』なんて発言には繋がらないなぁ。
あるいは、ジムの暗殺はキャンベルによるものではなく、あくまで『デジタル化した“愛国者達”の独断』だったと見た方が、より自然かもしれない。
MPOに隠れたMGS1“シャドーモセス事件”に関するキーワードは、ここまでか。
書いてて自分で思うんだが、段々この“物語全体の軸”が、『ビッグボスから“愛国者達”へ』と変わり始めているような気がする。
最終的に帰結するのは、やはりここだという事だろうか。
さて、いよいよ佳境に入ってきたか。
MGS2“ビッグ・シェル事件”についてを書いていくことにしよう。
ここが、時間軸的に最後だな。
これに関して推理するのは、本当に限られているなぁ。他サイトでも色んな検証なされてるからやる気出ないし。
まぁいいか。ラストファイトですよ。
まず、タンカー編でゴルルコビッチと共にRAY強奪に乗り出したオセロットが、裏切る間際に言った言葉。
『返してもらうと言っただろう?――――“愛国者達”にな。』
この言葉を鵜呑みにするとしたら、『元々メタルギアRAYは“愛国者達”の物だった』という意味になる。
だが開発したのは限れもないアメリカ海軍で、機体のマーキング『マーリンズ』も見れば分かるだろう。
だが、オセロットは断言した。そして、『ゴルルコビッチを裏切るのは、ゾヴィエト崩壊前からの予定だった』、とも。
それは、つまり、『メタルギア自体』ではなく、『メタルギアの計画段階』が“愛国者達”による物であったという事か、もしくは――――
『メタルギアのデータを世界に拡散させたのが“愛国者達”だったから』という理由だったのか。
まぁゴルルコビッチに関してはMGS1のチョロ出しか分からない以上、影で何があったかは推測できないけどさ。
まぁそのデータをばら撒いた“愛国者達”は、そのデータを算出した“シャドーモセス事件”の発覚が実は予想外の出来事で、それによりアメリカ大統領だったジョージ・シアーズ(=ソリダス・スネーク)解雇に踏み切ったっていう話だったよな。
…………本編とは完全にズレるが、ここで俺は2つの疑問を唱えたい。
①ソリッドスネークや関係者たちは、大統領選挙に行ったときに『これスネークの顔じゃね?』って気が付かなかったこと。
②アメリカ大統領ってさ、リアルでも名前に『ジョージ』付きすぎじゃね?
まぁこれらに関しての答えなんざ推測するのも無理だし、②なんてホントどうしようもないし、あくまで俺の個人的疑問に留めておくが。
本題に返ろう。どうも俺は自分で自分の話の腰を途中で折るのが癖らしい。まったく、悪い癖だ。
後はプラント編か。
雷電がビッグシェルで解決しようとしたテロは、『S3計画 ※当初Solid Snake Simulationと思われていたが、実はSelection for Societal Sanity(社会の思想的健全化のための淘汰)』と呼ばれるシュミレーションで、雷電はただ、“シャドーモセス事件の再現者”でしかなかった、というオチだった。
個人的で悪いが、このオチは酷いと思った。
だがここで、“愛国者達”の正体が明らかになることとなった。
あの、俺にPS2の電源を切らせた、バグった大佐の言葉を借りれば、
『そもそも我々は正確には………人ではない。我々に実体はない。我々は君達が頼る「秩序」や「規範」そのものなのだ。』
これはつまり、世界の事象をネットを介して裏でコントロールしているから、という意味なのだろう。
さらにバグったローズ達に言わせれば、
『私達がしようとしてるのは、コンテンツの制御ではなく、コンテクストの生成。
世界のデジタル化は、人の弱さを助長し、それぞれだけに都合の良い「真実」の生成を加速している。
かみ合わないのにぶつからない「真実」の数々。 誰も否定されないが故に誰も正しくない。
ここでは淘汰も起こらない。世界は「真実」で飽和する。
それが世界を終わらせるのだ。緩やかに。
私達はそれを食い止めてあげようって言うの。
世界を逼塞させようとしているのは我々ではない。君達なのだよ。
本来、個は弱いけど無力じゃない。むしろ世界を壊すほどに危険な存在なの。
そしてデジタルのテクノロジーがさらに個を強くした。それは今の君達には過ぎた力だ。』
この言葉を聴いていて、ふと思い出したことがあった。
『どうして“愛国者達”は、このように世界の統制を図ろうとしていたのだろうか?』
その答えが、恐らく“愛国者達”の存在意義であり、彼らの名前の由来でもあるのだろう。
MGS4にも密接に関係してくるであろうこのテーマを解き明かす事で、今日の日記を締めくくりたいと思っている。
さて、話はMGS3にまで遡る。
1964年の“スネーク・イーター作戦”にて、ザ・ボスは、自身の使命の為に、己の命を捨てた。そしてそのことにより“真の愛国者”となった。
だが、もしこの時点で“愛国者達”が存在していたとしたら、どうなっていただろう。
世界の統制が図られていたのなら、そもそも冷戦なんて状況にはならなかったのかもしれない。
つまり結果的には、ザ・ボスは、死ななくて済んだのかも知れない。
政府の為の道具とならず、生き延びたかもしれない。
要するに、だ。
それこそが“彼女の望んだ世界”であり、
『“愛国者達”という機関そのものが、ザ・ボスの代わりに“真の愛国者”となる』という事だったのではないだろうか?
第2第3の“真の愛国者”誕生を避けて、それらの代わりに全ての役割を担う為に必要な機関こそが、“愛国者達”だったのではないか、という事だ。
もしも本当にこうだったとしたら、物語全ての辻褄が合うような気がするのだが…………どうだろうか。
まぁこれらも所詮、一人の学生の推測に過ぎないわけなのだが。
まぁ、なんにせよ、MGSシリーズは奥が深い作品だし、今日のところは推理はこの辺にして、おとなしく立ち去ろうかね。
MGS4を、楽しみにしながら―――――
ここまで読んでくれて本当にサンキュー。バーイ。
1/22 あとづけ。
なんかこの推理にちょっとだけ反響があったらしいのだが、それが怖くなってきたので、
この下の[コメントを書く]欄に、『こっちの考えの方が有力じゃないかー?』とか、『実はこうじゃないかー?』とか、
そういう意見やら感想やらを、生意気にも募集してみたいと思う。
もしも誰かMGSファンの方がこれを読んだ時、何か思うところとか感想なんかを、奮って書いてほしいと思う今日この頃。。。
気長にコメント待ってます。