『キリマンジャロとモヘンジョダロって似てね?』

ライズだ。タイトルからいきなり白けた事を言って申し訳ない。

ぶっちゃけ、特に意味はない。


さて。この土日は結構慌しく、休む機会もそれほど無かったわけなのだが、まぁアレだ。

妹が数え年で13歳になるからとか言って、京都の嵐山に十三参りに行く羽目になったわけだな。土曜日に。


いくら“キング・オブ・ヒマジニスト”と形容されるほど暇人な俺でも、たまにはゆっくり羽を休めたいと思う事もあるもんで、ましてお前わざわざ京都までそれだけの為に足を運ぶのかと疑問を持たざるを得なかったのだが、

よくよく考えたら俺の十三参りも京都の嵐山でやってたわけだし、だいいち家族の一大行事をすっぽかすほど親不孝になった覚えもないので、しゃーなしに俺も同行することになった。


京都には母方の実家があるんで、まずはそこに立ち寄って準備することになったらしい。

でも、一体何に準備が必要なのか、寺に行って祈祷してもらうだけでいいじゃないかと俺は当然のように訝しんでいた。


だが俺の考えの方が浅はかだったらしい。

というのも、準備とやらを終えて実家を出てきた時の妹の格好は、無駄にゴージャスな着物であったのだ。

そういえば今日は俺も含めて家族全員が正装していたのだが、妹だけが正装じゃなかったことを思い出した。

彼女だけは着物を用意されていたので必要なかったという事だったのか。


俺は納得して、家族と共にタクシーで目的地へと向かう事にした。



十三参りのルールは到ってシンプルだ。


“寺に行き、祈祷を受けて、ただ帰る”


要はこれだけで、後も先もなし。

だが、この一見簡単に括ったルールにも、意外な落とし穴が数多く存在するものだ。


まず第一に、寺に行くプロセスでの落とし穴。

これは前述の通り、“正装しなければならない点”である。めんどいったらありゃしない。


“クイーン・オブ・オオザッパニスト”と呼ばれる俺なだけに、その効力は天文学的なめんどくさ数値の跳ね上がりを観測する。


いや呼ばれてないけど。クイーンっつーか男だけど。いいじゃん。キングはもう使っちまったんだから。


まぁ何が悲しいかっつーと、スーツもどきの格好をさせられる事だ。

以前――中学生の時だが――スーツを着た時には『うーわ、七五三みたい。』と思い切り笑われただけに、このハードルは高い。


それでも我慢して着なければならないのは、俺の不運スキルが生まれもってS判定だからなわけで、これはたぶん生涯変わらないから、とりあえず俺はこの段階で全てを悟った



第二は、祈祷を受ける際の落とし穴だ。

ただ座ってお経を聞けば良いだけなのだが、この座り方がさ、当然というか厄介というか、まぁ、アレだ。


“正座”なんだな。


5年間も空手をやっていて、その度に正座をしていた俺でも、未だに正座という行為に慣れが来る事はない。

故にずっと座っていると、足の方がなんかパチパチと血液循環の不調を訴え始めるのだが、

両手を合わせて祈る格好の俺と、厳格なその場の空気的に、よもや座りなおしてあぐらをかく訳にも行かず、

15分ほど経って祈祷が終わってから立ち上がろうとした頃合には、ぎっくり腰にでもなったかと思うほど立ち上がれない事態に発展してしまっていた。もう勘弁してください。


だが俺がそう思ったのも束の間、最後にして最大なる十三参りのルールが、そこには厳然と存在していた。


“祈祷が終わって寺から出てから、その向こうの橋を渡りきるまでは決して振り向いてはならない”


どこの千と千尋的なルールかと問い詰めたくなるがマジだ。

どうやら振り向くと、せっかくの祈祷で授かった知恵を落としてしまうとの事らしい。


『なぁんだ、普段からそれほど歩きながら振り向くわけでもあるまいし、こんぐらい大丈夫だろう』と思った貴方は、間違いなく読みが浅い。

かく言う俺もそう思っていたのだ。


だが、いざ寺を出るとだな、どういうわけか後ろが気になるんだ。

人間、やっちゃいけないと言われるとやっちゃいたくなるもんだよな。正に人間の真理だ。


なーんか理由もなく振り向きたくなる衝動に駆られる。しかも橋までの距離が中途半端に遠い。


“ジャック・オブ・フリムキニスト”と呼ばれた事は一度たりとも無いが、これはある種の拷問に近かった。


無事に橋を渡りきった後に訪れる妙な達成感だけは、悪い心地はしなかったがな。


まぁそんなこんなでイベントは午後2時ごろに終了し、ちょっと遅れた昼食を食べては京都探訪を適当にこなして夜に自宅へと帰宅し、間髪入れずに学習塾に直行させられた。

結局帰ってきたのは10時40分ときた。下手な平日よりもハードな生活だったぜよ。


日曜日、つまり今日は、その気分転換的な意味合いも含んで――重要な用件もあり――相棒の家に押し掛けた。

俺が依頼していた原稿の作業はどうやら順調に推移しているようで安心し、ネットラジオを聞いたり雑談をしているうちに夕方になり帰ってきてしまった。ちっとは原稿やれよ、俺。


つーわけで、帰ってきてからはここ2日の疲れもあってベッドに特攻をかけて、即座に眠りに付いた。


“ジョーカー・オブ・イネムリニスト”と呼ばれているかどうかは定かでは無いが、本当に突っ込んで30秒経たない内に眠れたんだから大したもんだ。

のび太と闘っても良い勝負になるかも知れない。


そんでついさっき起きたわけだ。

実を言うと寝ぼけながらこの文章を書いているので、自分でも多少何書いてるか分からんのだが、まぁ許してやってくれ。


俺の寝起きは色んな意味でシャレにならんのである。



そんなわけで今日の日記は終わる。いつか知り合いの前で正装を着て大笑いを取りたいと若干野心を抱きつつも…………。



ふっふっふ。