『シャークトレードについて。』

ライズだ。こんにちは。

更新が停滞してしまい、日頃から閲覧してくださっている方々には非常に申し訳ない思いで一杯であります。

だが更新停滞の理由は前回書いた怠慢ではなく、小説一挙更新のための布石であったとご理解がいただければなと思います。


さて、実を言うともう小説一挙掲載ができるまではサイトの更新はすまいと考えていた俺だったのだが、今日は少し引っ掛かることがあったので記事にしておかねばならないと思っていま書いている。


極めて個人的かつ局地的な問題ではあるが、暇であれば眺めていただければ駄文量産者冥利に尽きる。



先日、空いた時間に友人たちと集まって、カードショップのスペースを借りてカードゲームを遊んでいた。

昼食は少し離れたファストフード店まで買出しに行って店の外で食べ、夜まで遊び通す徹底ぶりであった。


だが、そこでどうしても気になる光景を見つけたのだ。

あの時充分に注意できなかったのが今更になって悔しくて、どうせ俺はここに書くことしか出来ないのだが、書かなければもっとひどいことになる気がするので書かせてもらう。


シャークトレードという言葉をご存知だろうか。

カードゲームプレイヤーの間では広く使われている言葉だが、そうでない人には見当が付かないであろうのでここで補足しておく。


シャークとは鮫の意ではなく、人を偽るといった意味である。

シャークトレードはその名の通り、詳しい情報を持たない者(主に初心者や子供)などカードの価値や有用性に関して疎い人間を対象にして、不当な交換条件を丸呑みさせて自らが得をする交換を平然と行うことを指す。

個人的な意見になるが、これはカードゲームプレイヤーにとって最悪の禁忌であり、他人に直接被害が出ている点でレギュラーパックのレアサーチよりも酷い行為であると断言できる。


特にそれが子供に行われた場合は悲惨だ。それを新しく買い戻す金銭さえない可能性が高いからだ。

だというのに、普段から会い遊ぶ友人たちの中から、これが出た可能性がある。


その交換の序盤を聞き流しに近い状態で見ていたため、彼と子供のどちらから交換を言い出したかははっきりとは断言できない。

ただ、彼のほうから言い出したように何度思い返しても思うのでそうであるとして話を進める。

理由は、彼と会話もしたことのない初対面の小学生のほうから、べつだん交換を求めたがるとは考えられないからである。


彼はその日出たばかりのプレミアムパックを購入したばかりで、目当てでなかった実戦向きではないカードを沢山抱えていた。

この使えないカード達は確かに何の戦闘価値も持たないのだが、プレミアムパック出身なので外見上はシークレットレアの加工がされており、初心者が見るとカードの綺麗さが手伝って価値のあるカードにも見える。


その中の一枚を彼は、デッキ確認をしていた最中の近くの子供に見せ付けて、「これとそれ交換してや」と言った。

だんだん思い出してきた。やっぱり取り引きを持ち出したのは彼だったと思う。


子供は何が何やらもよく分かっていない様子だったが、おずおずと手持ちのカードを差し出し、かわりに彼からプレミアムパックのカードをもらった。

彼の持つ非凡庸シークレットレアカード『コードオブジャスティス』と、

子供の持つ万能シークレットレアカード『聖なるバリア -ミラーフォース-』が交換された瞬間だった。


明らかに不当であると判断した俺は、彼に対して「いやそれやめといたほうがいい。返してあげたほうがいいって」と注意をその場でかけたのだが、

「いや、子供もOKしてるんだから何の問題もないでしょ」と言い放って彼は涼しい顔で自分の席に着いた。



この時に、最悪キレてでもトレードをやめさせるべきだったと俺は後悔している。

俺は小さい頃にまったく同じことをされ、泣くほど後悔したことがあった。


俺は、そういった苦い経験があるからこそ、カードゲームは子供が主役といった立場を崩さずに今までやってきた。

対戦相手に困っている子供がいれば積極的に声を掛けてルールを教えながらプレイするし、

公民館で出会った初対面の子供が「ロックデッキ以外を怖くて使えない」と言ったのが引っ掛かり、別れ際に、制限級のシンクロモンスターカードをチューナー付きでそのままくれてやったこともある。


たしかに世界大会や選考会などは、大人がほぼ全てを占める環境になってしまってもしょうがないと思う。

親父の作ったミニ四駆マシンが優勝するのと同じようなもので、財力やプレイング能力の桁が違う。卑怯だとは感じるけど、それはそういうものだと割り切るしかない。


でも、普段に遊ぶぶんはやっぱり主役は子供たちだと思う。彼らの純粋なカード好きは、初手から1ターンキルを狙う我々の環境とは一線を画す、また、画せねばならないものだと信じている。

小学生のときにカードゲームに触れていた人たちなら分かるはずだ。

あの時は対して強いカードでなくても、主人公が使っていれば強く思えた。絵や名前が光っていれば強く思えた。

それは、カードを単なる記号として扱う無機質な大人達のプレイとはまったく違う世界の話だ。


だからそこに大人が札束の団扇を煽ぎながら土足で入っていくのは間違っている。それが直接に不当な取り引きを仕掛けるようならなおさらだ。


俺はせっかく得た友情を壊したいと思うような人間ではない。ないが、子供を鴨にする行為を容認するのもまた、感覚の麻痺だと思う。


価値の判ってない子供相手にシャークトレード仕掛けるような大人が居てどうするんだ。

もう19歳も過ぎたような大学生が、人を利用してまで厚紙に夢中になってどうするんだ。


あの時止めきることの出来なかった自分が言えることではないのかもしれないけど、でもこんなのってないんじゃないか。

こんな考えは、俺だけなのか?