『盛大なる出来事は後々、閑寂なる休息を必要とする』

ライズです。ようやく深い眠りからの帰還を果たしました。

昨日は、その多大なる肉体的疲労から更新さえも叶わず、ベッドの上にて永眠の如き深淵な夢見についていたわけだが、
はてさて、昨日書くことが出来なかった出来事から、順を追って話そう。

なぁに、昨日何があったのかは、2日前の予告を見れば分かる事だ。有り体に言えば、恋人と遊園地に行ったのさ。

だが遊園地と言えども、某ネズミキャラ御達しテーマパークではない。

近場の、簡単な遊園地である。いわゆる庶民派遊園地とも呼べるかもしれない。

日付けは12月27日。デートピークにしては2〜3日ずれている。
だがそれも計算どおりだ。
下手に聖夜に遊園地にデートなどしようものならば、いくら近場の遊園地といえどそこそこの庶民は集まる事だろう。

そして、言うまでもなく俺たちも庶民である。

つまりは、その人数の多さから、充分にアトラクションを楽しむ事が出来ないかもしれないのだ。
クリスマスイヴのデートとは、常にそのような配慮が付きまとう。
それでは恋人にも精神的負担が掛かるかもしれないし、何よりはっちゃける事が出来ない。

その他諸々の憂いがあって、わざわざ聖夜3日後の今日にデートに踏み切ったという訳だ。


という前置きも草々にして、その日のレポートをここに書きとめておきたい。

その日俺は、家族の誰よりも早く起床した。
この朝早く起きると言う行為も、すっかり日常となりつつある。
冬休みにここまで連続して早起きを実践した日が未だかつてあった事だろうか。

まぁそれはさておき、さっさと着替えた俺は、バッグの中身を確認しつつも家を出た。


だが、俺はこの時軽い風邪を引いてたのだ。
昨日、帰ってからずっと熱で寝たきりで、日記の更新が出来なかったのも、今それをうつされた親父が布団でうずくまっているのも、全てそれが原因なのである。

だが、今日その事を悟られてはならない。

今日は、何日も前から準備していたデートなのである。


俺が風邪を引いている事実は、恋人にだけはバラすわけにはいかないのだと。

そう俺は、固く決心していた―――――


さて、恋人と合流して遊園地へと向かった俺たちは、遊園地の正面が若干模様替えをしていたのに驚かされつつも到着。

「フリーパスは正面ゲート右側のインフォメーションにて着用してください。」
「あいよー。」

等といったやり取りをしつつも、ゲートを潜る。

そう、今の会話を聞けば分かるだろうが、今日はフリーパス装備で出撃するのだ。
値段は3000円。これからの一日を思えば安いものである。

『ふっ。ざっとフリーパスの元値の10倍ほどは遊び倒してやるZEEEEEEEE』
と意気込んでいる、高校生の俺。

風邪引いてるっていうより、むしろ周りから引かれてるような気がしないでもないような。

まぁ上手い事言った所で俺の心境は変わらない。

俺様の本気を、見せてやるZE。


まず手始めに、ジェットコースターに乗る。
        ↓
久しぶりの感覚に三半規管が麻痺する。


次に、同じく絶叫系小型トロッコに乗る。
        ↓
時間を置かなかった為、麻痺が助長される。


そして、360度上下回転型の、同じく絶叫系に乗る。
        ↓
もうそろそろヤバイ。


「くっ、ブランクとは恐ろしいものだ。」
ちょっとヤバめな体を引きずりつつも俺は呟いた。風邪の所為とは恐ろしいものだと、再確認させられる。

そこで、休憩の意を込めて、射的系アトラクションと戦車戦闘アトラクションにて体を落ち着かせる。

他にも体感型シアターや洞窟探査アトラクションなどで少しづつ調子を取り戻した俺は、昼飯の後に


空中ブランコ
  ↓
直下型落下絶叫マシン
  ↓
360度捻子型アトラクション(前述のものとは別物)


神コンボで瀕死状態に陥る。


だがフリーパスまで買ったのにここでやられるわけにはいかない。

ハングリー精神の名にかけて、俺はこの苦難に打ち勝つっ!



――――とは意気込んだものの、やはり体は正直だったか。

「少しベンチで休憩してもいいかな。」 と、言わざるを得ない状況に差し迫った。


だが、ここで風邪を悟られてはいけない。

ここで心配されては、男の名が廃る――――



だが実際、風邪があまりにも軽すぎたのか、何分かの休憩の後、俺はきちんと復活していた。


ということで、雑貨屋さんを冷やかしたり等、まったりとした時間をそこに形成していく俺たち。


やがて太陽は傾き、夕焼けが映える頃合になった。

いよいよ遊園地も最終ターンに差し迫っていた。即ち“観覧車の搭乗”である。


観覧車の上空から眺める夕晴れの光は、掠め行く雲やビルの陰との鮮やかなコントラストを形成していた。
その光景が、今日一日の俺たちの楽しそうな姿と重なって見えるような気がして、妙に鮮明に俺の目に焼きついた。

恋人が、回る箱体の窓から携帯で風景を撮影している。

この一瞬が、電子記憶媒体を通じて永遠に保存されるのだと思うと、嬉しくなった。


さて、観覧車の中でのイベント(敢えてオブラードな表現に)もつつがなく終了し、俺たち2人は帰路に付いた。

ここまで“楽しい”と感じた出来事は、人生をおいてもなかなか無いのではないだろうか。


だが、楽しさが終わってしまうと、どうにも忘れていたものが復活する。



風邪だ。



電車の中で、妙に頭を抑えられるような圧迫感を感じ始める。

隣で恋人が眠っているのが好都合だ。

今の表情を見られると、せっかくこらえてきたのが台無しになるような、そんな気がしたからだ。


数十回に渡る深呼吸の後に頭に掛かる圧力を取り除き、恋人を起こして電車を降りる。


だが、どうしてもしんどさは拭えない。



そこで、帰る途中に俺の家に寄らせてもらう事にした。



もちろん理由は伏せて、「ちょっと家に寄ってもいいかな」とだけ告げていた。

ここまでくると意地である。


家に帰った俺は、速攻で風邪薬を貪り、のど飴を口の中に放り込んで噛み砕いた。


外で恋人を待たせた以上、余計な時間を費やす訳にはいかない。


2分ほどかけてそれらの行為を終わらせた俺は、待たせていた恋人の元へ向かい、別の路線の駅まで送ることに。

さて、さっき家に帰った際に、俺は自転車を出していた。

恋人を送った後、即座に家に帰ってベッドに横になる必要があったからだ。

だが、最後までその事を伝えてはならない気がした。


男女関係において、相手を必要なく心配させるのは、相手に迷惑でありタブーである。


よって、俺はどうにか最後まで「自分は健康体である」とアピールする必要があった。

しかしながら、やはり体は正直極まりない。


「早く休め!」「しんどいぞ!」などという脳内アラームを受けてか、自然といつも以上に早歩きになってしまう。

だが、俺たちにとっては今年最後の逢引となるわけで、ゆっくり歩きつつも語り合いたいという心もあったので、駅に到るまでずいぶんと遠回りをしたものである。


恋人を無事に見送り、その最後の振る舞いの自然さに対してガッツポーズをしつつも家に帰った。



――――熱が、出ていた。



「今日PC触ったら、ハンマーで叩き割る」との親の脅しも利いて、俺はそのまま横になったという訳だ。



そして今日。

計ってみると、熱は大分落ち着いたかのように見えた。

朝から夕方まで37度中盤をキープしていたが、それほどしんどいってわけでもない。

今これを書いてる時点では、熱はほとんど無視できる程度なのだし。


とにかく、「もう今年は1度風邪引いてるし、これ以上風邪なんて引かないって〜」と豪語していた俺が、こうも簡単に2度目の風邪を引くとは思わなかった。


みなさんも、体には気をつけて年末を乗り越えて欲しいものだ。