『こうして、永きに渡る戦争は終わった。そして次の戦いが始まった。

ライズだ。

昨日でテストはとうとう終わっちまったので、春休みという平和を優雅に満喫しようと思ってるわけだが、


どうにもこうにもな、歯が痛いんだ。

実を言うと先週ぐらいから痛かったんだが、『虫歯なわけねぇだろ、フゥハハハー』などと余裕をぶっこきまくったのが運のツキだったらしい。


今日、ジュクジュクと痛み始めた。

もうなんかチャーハンの味さえ良く分からないほどの痛みだったので、しゃーなく歯医者に行く事にした。

流石に平日だけあり人は疎らだったので、すぐに診察室に通された俺。


しかしレントゲンを取った後、俺は衝撃の事実を目の当たりにするのだった―――――!!






『うーん、3箇所、ですね。隣3つが並んで虫歯です。
 うち、奥の1つは金属で詰めた方がいいでしょう。』




















※画像はイメージ図です。




OH、なんてこったいジョニー。虫歯連続3つ治療とかもう心底オーマイガー。


『なので、今日は結構時間掛かりますよ。覚悟してくださいね。』


うん、覚悟します。覚悟するので助けてください。



(なんかオラ、執行5秒前の死刑囚みたいな心境になってきたぞ!)

心の中で呟いた雑念。

だが、この例えは痛ましいほど正確である事を、俺はすぐに知ることになる。


と、いうのも、いきなり俺の目の前に注射器が登場した日にゃ、ビビらずには居られないのである。


『あー、これ麻酔ですから。チクッとしますよー。』

すごい怖いんですけど、これ歯茎に刺すんですよね。刺すん…………ですよね……………。


『はーい、痛かったら左手を上げてくださいねー』



グサッ




Ahhhhh....!!!




“チクッ”じゃないよ先生。“グサッ”だよ。なんか突き刺さったよ。ブチ抜いちゃってるよ歯茎。貫いたよ鋼の信念を。(?)



俺は挙げた。

かつてないほどの凄まじさ、疾風の速さで左腕を高々と挙げた。



……………当然、無視された。





そんな時、記憶の片隅で、ふと頭をよぎった絵があった。






気持ち良さそうに手ェ挙げてるなオイ。



流石はひろし君。誰だか知らないけど。ていうか、ポチの存在意義は一体。


お前らの笑顔、お兄さんにもちょっと分けて欲しいな。






だが、その麻酔のおかげで難もなく治療が終わってしまうという皮肉。嗚呼、人生ってのは奥が深い。



どうにか無事に勘定を終えて、帰路に着くことが出来た俺。

しかしついさっき、また痛みがぶり返してきたのである。


虫歯だった部位が、だ。



(ひょっとして、治療しそびれた部分があるんじゃないか?)と思い、歯医者に直接確認する事に。


すると俺の担当医から、予想斜め上の回答を頂いた。



『あぁ、私が打った麻酔はすぐに切れるものなので、詰めた痛みがぶり返すかもしれませんよ。』












もう歯医者は信じない。俺はそう、心に誓うことにしたのだった―――――